【夫の看取りは、まさかの40代前半】

シングルマザーの母KARIN(かりん)です。
もうすぐ夫の命日を迎えます。あれから7年が過ぎ、
亡くなった夫の年齢においつきました。

在宅医療の先生と総合病院の先生に支えられ、
自宅中心の生活を送る事ができました。
在宅医療で往診して下さる先生から
「年越しは、難しいでしょう」と言われたけれど、
新年を自宅で静かに迎える事ができました。

年が明けて、総合病院の定期診察をうけたら
「もう限界です。入院しましょう」と言われた。
目の前に迫っている別れの時間が、理解できなくて、
目の前に迫っている別れの時間に、現実感がもてなくて何もできないまま、
ただ病室で親子3人、同じ時を過ごしました。

何か思い出に残る事をと思っても、何も考えられない。
伝えなければいけない言葉があると思っても、その思いは、言葉にならない。
心拍数を計測する機械のアラームの音を聴きながら、
どうする事もできなかった。

二度ととりもどす事のできない大切な時間だとわかっているのに
何もできなかった無力な自分。
せめて親子三人で過ごす時間を、ずっと忘れないように記憶にとどめようと
その感覚を刻み込んだはずなのに、
その時の記憶を思い出す事ができなくなっていた。

「何もできなかったけれど大切な時間でした。」
7年たって最近やっと、そんな風に思えるようになりました。

「人の命には、終わりがある」
世の中に100%確かな事など、ほとんどないけれど100%確かな事は、
人の命には、終わりがあるという事。
高齢化が進むこの国では、これから、
そんな出来事と出会う人が増えていくのだろうな。

まさか40代前半で、こんな運命が用意されていたとは思いもしなかったけれど、「人に与えられた時間には、終わりがある」
そんな言葉を、リアルな現実として受けとめる尊い体験でした。